子どもたちの読書の時間: 4 分
昔、世間に出て行った王様の息子がいて、物思いに沈み、悲しんでいました。空を見て、とても美しく澄んで青いのに、ため息をつき、「あの上の天国にいるならどんなにいいだろう」と言いました。すると、道を歩いて自分の方にやってくるみすぼらしい白髪の男が見えました。それで王子は男に、「どうしたら天国に行けますか?」と尋ねました。男は「貧しさと謙遜によってだよ。私のぼろの服を着て、7年世間をさまよい歩き、惨めさがどういうことか知るようになることさ。金を受け取らないで、腹が減れば、情け深い人に少しパンをめぐんでもらえ。こうして天国にたどりつくことができる。」と答えました。
それで王様の息子は自分の素晴らしい上着を脱いで、その代わりに乞食の服を着て広い世間に出て行き、ひどい惨めさを味わいました。ほんの少しの食べ物を食べ、何も言わないで、自分を天国に入れてくださるようにと神様に祈りました。七年が終わったとき、王子は父親の宮殿へ戻りましたが、誰も王子だとわかりませんでした。王子は召使たちに、「行って両親に私が戻ってきたと告げてくれ」と言いました。しかし、召使たちはそれを信じないで、笑い、王子をそこに立たせたままにしておきました。それで王子は、「行って兄たちに下りてくるように伝えてくれ。もう一度僕はとても会いたいから。」と言いました。召使たちはそれもしようとはしませんでしたが、とうとう一人が行って、王様の子供たちにそれを話しました。しかし、兄弟たちも信じなくて、わざわざ気にかけませんでした。
それで、王子は母親に手紙を書き、自分の惨めさを全部述べましたが、自分が息子だとは言いませんでした。それでお后は可哀そうに思い、階段の下の場所を王子にあてがわせ、二人の召使に毎日食べ物を運ばせました。しかし召使の一人は性格が悪く、「何で乞食がうまい食べ物を食べるんだ?」と言って、自分のためにしまっておいたり、犬にやったりして、弱ってやつれた乞食に水しかもっていきませんでした。しかし、もう一人は正直で、寄こされたものをちゃんと乞食に持って行きました。それは少しでしたが、王子はしばらくそれで生きのびることができました。王子はずっととても我慢強くしていましたが、だんだん体が弱っていきました。病気がひどくなると、王子は最後の聖餐を受けたいと願いました。ミサが行われているとき、その町と近くの町の鐘がすべてひとりでに鳴りだしました。ミサのあと、司祭が階段の下のみすぼらしい男のところに行くと男は死んでいて、片手にバラの花をもち、もう片方の手にはユリをもっていました。そして男のそばに自分の来歴を書いた紙がありました。男が葬られると、墓の片側にバラが生え、もう片方の側にはユリが生えました。