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命の水
命の水 Märchen

命の水 - メルヘン グリム兄弟

読書の時間: 15 分

昔、病気の王様がいましたが、誰も王様がその病気から回復すると信じませんでした。王様には3人息子がいて、王様の病気を悲しんで宮廷の中庭に降りて行き、泣きました。そこへおじいさんが来て、なぜ悲しんでいるのか、と尋ねました。息子たちは、父親の病いが重く、どうにも治しようがないので死んでしまうだろう、と言いました。

命の水 メルヘン

するとおじいさんは、「私はもうひとつの薬のことを知ってるよ。それは命の水だ。それを飲めばまた良くなるが見つけるのが難しいんだ。」と言いました。一番上の息子は、「なんとか見つけてみせる。」と言い、病気の王様のところへ行き、命の水を探しに行くことをお許しください、それだけがお父さんを救えるのですから、とお願いしました。「だめだ」と王様は言いました。「危険が大きすぎる、それよりむしろ私は死んだ方がましだ。」

しかしあまりしつこく頼むので、王様は了承しました。王子は心の中で、「僕が水を持ってくれば、お父さんに一番かわいがられ、国を継ぐことになる。」と考えました。それで王子は出発し、馬で少し行くと、道に小人が立っていて、王子に呼びかけ、「急いでどこへ行くんだい?」と言いました。

命の水 メルヘン

「馬鹿なチビめ」と王子は、とても傲慢に言いました。「お前に関係ないだろ。」そして馬で進みました。しかし小人は怒って悪い願かけをしました。この後まもなく王子は渓谷に入りましたが、行けば行くほど山同士が近づいていき、とうとう道がとても狭くなって一歩も前に進めなくなりました。また馬の向きを変えることも鞍から降りることもできなくて、まるで牢獄にいるかのようにそこに閉じ込められてしまいました。病気の王様は長い間王子を待ちましたが、王子は帰ってきませんでした。

すると二番目の息子が、「お父さん、水を探しに私を行かせてください。」と言いました。そして心で「もし兄さんが死んでいれば、国はぼくのものになる。」と思いました。初め王様は行くのをやはり許しませんでしたが、最後は折れました。それで王子は兄が行ったのと同じ道を出発し、兄と同じように小人に会いました。小人が王子をとめて、そんなに急いでどこへ行くのか、と尋ねると、「チビめ」と王子は言いました。「お前には関係ないだろ。」そして二度と見ないで先へ進みました。しかし、小人は王子を魔法にかけ、この王子もまた、兄のように、渓谷へ入って行き、前へも後ろへも行けなくなりました。傲慢な人々はそんな風になります。

二番目の息子も帰って来ないので、一番下の息子が水をとりに行かせてほしいと願い、ついに王様はこの息子も行かせるよりしかたがありませんでした。王子が小人に会うと、小人は「そんなに急いでどこへ行くんだい?」と尋ねました。王子は止まって、事情を説明し、「命の水を探しに行くところです。父が死ぬほどの病気なものですから。」と言いました。「じゃあ、どこで水が見つけられるか知っているのかい?」「いいえ」と王子は言いました。「お前は礼儀にかなったふるまいを身につけていて、不誠実な兄たちのようには傲慢でないから、どうしたら命の水を得られるか教えてやろう。命の水は魔法のかかった城の中庭にある泉から湧き出ている。だが、私が鉄の棒と2つの小さなパンをお前にやらなければ、お前はその城へ進んで行けないよ。城の鉄の扉をその棒で3回たたきなさい。

命の水 メルヘン

そうすれば扉はぱっと開く。中には2頭のライオンが大きな口を開けている。だけど、それぞれのライオンにパンをひとつずつ投げれば、ライオンはおとなしくなるからね。それから12時になる前に急いで命の水をとってくるんだ。そうしないと扉がまた閉まってお前は閉じ込められてしまうぞ。」

王子は小人にお礼を言って、棒とパンを受け取り、道を進んで行きました。着いてみると全部小人の言った通りでした。扉は棒で3回たたくとぱっと開きました。王子はパンでライオンたちをなだめたあと、城に入り、大きく豪華な広間に着きました。そこに魔法にかけられた王子が何人かいたので、その指から指輪を抜いてはずし、剣とパンがそこにあったので、それを持ち去りました。このあと、王子は一つの部屋に入りました。その中には美しい乙女がいて、王子を見ると喜び、キスし、「あなたが私を救ってくれました。そして私の国は全部あなたのものになります。1年経ってあなたが戻れば私たちの結婚式が行われます。」と言いました。また、乙女は、どこに命の水の泉があるかを教え、12時前に急いで水をくまなければいけない、と言いました。

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それから王子はさらに進み、とうとう美しく新しいベッドがある部屋に入りました。王子はとても疲れていたので少し休みたいと思い、ベッドに寝て、眠り込みました。

目が覚めると12時に15分前でした。王子はびっくりしてぱっと跳ね起き、泉に走り、近くにあったカップに水を汲み、急いで立ち去りました。しかし、ちょうど鉄の扉を通りぬけているとき、時計が12時をうち、扉がバタンと閉まったので、王子のかかとが少しとれてしまいました。

しかし、王子は命の水を得て喜び、帰途に着きました。そしてまた小人に会いました。小人は剣とパンを見ると、「これをもって大きな財産を得たんだよ。剣でたくさんの軍勢をまるまる切れるし、パンは決して食べ尽きるということがないんだ。」と言いました。しかし王子は兄たちと一緒でないので父親のところへ帰る気になれなくて、「小人さん、私の兄たちがどこにいるかわかりませんか?二人は命の水を探しに私より前に出かけて、戻っていないのです。」と言いました。

「二つの山の間に閉じ込められているよ。」と小人は言いました。「あまり傲慢だから、私が二人をそこに閉じ込めたのさ。」それで王子はお願いして、小人に二人を解放してもらいました。しかし小人は、「二人に気をつけるんだよ、悪い心を持ってるからね。」と言いました。兄たちが来ると、王子は喜び、自分にあったことを話し、命の水を見つけてカップに1杯持ち帰ったこと、美しい王女を救ったこと、その王女が1年自分を待って、その時結婚式が行われ自分は大きな国を得る、ということを二人に話しました。

そのあと三人は一緒に馬を進め、戦争と飢きんに苦しんでいる国をたまたま通りがかりました。もうそこの王様は滅びるに違いないと思っていました。というのは食料がとても不足していたからです。それで王子は王様のところへ行き、パンを渡しました。それで王様は国じゅうの人々に食べさせ、おなかを満たしました。それから王子は剣も渡し、それで敵の集団を切り伏せ、安心して平和に暮らせるようになりました。それで王子はパンと剣を返してもらい、三人の兄弟はまた馬で進みました。しかし、このあと、三人は戦争と飢きんに苦しんでいるもう2つの国に入り、そのたびに王子は王様たちにパンと剣を渡し、こうして3カ国を救ったのでした。そのあと三人は船に乗り海を渡りました。航行中に二人の兄は二人だけで話し、「ぼくたちではなく弟が命の水を見つけた。それでお父さんは弟に国を譲るだろう。僕たちの国だよ。そして弟は僕たちの財産をみんな奪ってしまうんだ。」と言いました。それで二人は仕返しをしようとして弟をつぶす計画を相談しました。二人は弟がぐっすり眠るまで待って、カップから命の水を出して自分たちでとって、そのカップに塩辛い海水を入れました。

三人が家に着くと、一番下の息子は病気の父親が飲んで治るようにと、カップを持って行きました。しかし、塩辛い海水をほんの少し飲むとすぐに、王様は以前よりいっそう病気が悪くなりました。これを嘆いていると、二人の兄たちがやって来て、弟のことを父親に毒をもろうとしたと非難し、自分たちが本当の命の水を持ってきました、と言って、父親に渡しました。王様はそれを飲むとすぐ、病気が離れて行く感じがして、若い時のように健康で丈夫になりました。

そのあと兄たちは二人とも弟のところへ行き、嘲って「お前は確かに命の水を見つけたさ。だけどお前は骨折りをしただけ、僕たちは得をとったのさ。お前はもっと賢くなって目をしっかり開けておくんだったな。海でお前が眠っている時にお前からそれをとったんだよ。それで1年過ぎたら、僕たちのどっちかが美しい王女をもらいに行くよ。だけど、このことは何もお父さんにばらさないように気をつけろ。実際お父さんはお前を信用しないし、もし一言でも言えば命もおまけに失うことになるさ。だけど黙っていれば命は助けてやるよ。」と言いました。

年とった王様は末の息子が自分の命を狙ったと思い、怒っていました。それで裁判を召集し、息子に対して、密かに撃ち殺されるべきた、という判決が下されました。それであるとき、王子が、悪いことを何も疑わないで、馬で狩りにでかけました。王様の猟師が一緒に行くように言われていて、森で二人だけになったとき、猟師がとても悲しそうなので、王子は「猟師さん、どうしたの?」と言いました。猟師は「言えません。でも言うべきなんです。」と言いました。それで王子は「何なのかはっきり言ってごらん。お前を許すから。」と言いました。「ああ、私はあなたを撃ち殺すことになっています。王様がそう命令しました。」と猟師は言いました。それで王子はあっと驚いて、「猟師さん、殺さないでくれ。ほら、王家の服をやるよ、かわりにお前の粗末な服をくれ。」と言いました。猟師は「喜んでそうしますよ。全くあなたを殺さなくてよくなったのだから。」と言いました。それから二人は服を取り替え、猟師は家に帰り、一方王子は森に深く入って行きました。

しばらくして、金と宝石の荷馬車が末の息子を訪ねて王様のところにきました。それは、王子の剣で敵を倒し、王子のパンで国民を生かしておくことができた3人の王様たちが感謝の気持ちを示すために送ったものでした。年とった王様はそのとき「息子は無実だったのではないか?」と思い、家来たちに「あの息子がまだ生きていたらなあ。殺させてしまったのはなんと悲しいことだ。」と言いました。「まだ生きています。」と猟師は言いました。「王様のご命令を実行するのは忍びなかったのです。」そしてどういうことだったのか王様に話しました。それで王様の心から重荷がとれ、息子は戻ってよい、そして喜んで迎えられる、というお触れをあらゆる国に知らせました。

ところで、王女は宮殿につづく道をとても明るい金で作らせました。そして家来たちに、その道をまっすぐ自分のところに来る人がその当人だから入れてよい、しかし道のわきを通ってくる人は当人ではないから入れないように、と言いました。

時が近づいてきたので、一番上の王子は急いで王様の娘のところに行き、王女を救った人として名乗り、花嫁に迎え、おまけに国をいただこう、と思いました。それで馬ででかけ、宮殿の前に着き、見事な金の道を見ると、この上を馬で行くのは許しがたいことだ、と思いました。そして脇へ寄って道の右側を通りました。しかし、入口に来ると、家来たちは、当人ではない、立ち去るように、と言いました。

この後まもなく二番目の王子が出発し、金の道に来て馬が片足を道にのせたとき、許しがたいことだ、金が踏みつけられてはがれるかもしれないではないか、と考えました。それで脇へ寄って道の左側を通りました。しかし、入口に来ると、家来たちは、当人ではない、立ち去るように、と言いました。

とうとう1年がすっかり過ぎてしまったとき、三番目の息子も、森から出て愛する人のところへ行こう、そして娘と一緒にいて悲しみを忘れよう、と思いました。それで王子はでかけ、ずっと王女のことを考え速く会いたいとばかり思っていたので、金の道にまったく気づきませんでした。それで王子の馬は、道の真ん中を進み、入口に着くと扉が開かれ、王女が喜んで王子を迎え、「あなたが私を救ってくれた人です。そしてこの国のあるじです。」と言いました。二人の結婚式は大きな喜びでもって祝われました。式が終わると、王女は、あなたのお父さんがあなたを許してあなたを戻るように促していると王子に言いました。

それで王子は馬に乗ってそこへ行き、王様にすべて、兄たちが自分を裏切ったこと、それでも自分は黙っていたこと、を話しました。年とった王様は兄たちを罰しようと思いましたが、二人は海に逃げてしまって生きてる限り戻りませんでした。

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背景情報

解釈

言語

「命の水」はグリム兄弟の書いた童話の一つで、道徳的なテーマと冒険、家族の葛藤を描いた物語です。物語は、病気の王を救うために「命の水」を探しに行く三人の王子の冒険と、それに付随する試練や葛藤を描いています。

物語の主要なポイントは以下の通りです:

物語の出発点: 病気の王を治すため、三人の王子が「命の水」を探しに行く。最年長の二人の兄は傲慢で協力的でないが、末の弟は謙虚で礼儀正しい。

試練と冒険: 兄たちは道中で試練によって失敗し、閉じ込められてしまう。末の王子は正直で素直な態度を持っていたため、小人の助けを得て、試練を乗り越えて「命の水」を手に入れる。

帰路と裏切り: 帰り道で、兄たちは弟を裏切り、命の水と入れ替えに海水を使用し、王に渡す。結果として、弟は後に父王によって誤解され命を狙われることになる。

最後の試練と和解: 王子は最終的に真実を証明し、王の信頼を取り戻す。王子は助けた国々からの感謝を受け、王女と再会し結婚する。兄たちは逃亡し、物語は王子の幸せな結末で締めくくられる。

この物語は、礼儀正しさや謙虚さがいかに重要かを強調するとともに、正直さと誠実さが最終的に報われるという教訓を含んでいます。また、嫉妬や裏切りの結果がどうなるかについても教え、読者に道徳的な考察を促しています。

グリム兄弟の『命の水』は、家族、誠実さ、欲望、そして運命に関する物語です。この物語では、末の息子が誠実さと謙虚さを保ち、その結果、最終的に成功と幸せを手に入れる一方、兄たちは傲慢さと欲望のために失敗します。物語はいくつかのテーマを扱っています。

誠実さと謙虚さの重要性: 末の息子が小人に対して敬意を持ち、その助けを借りられたのに対し、兄たちは傲慢さのために罰せられました。これは、誠実さと謙虚さが成功の鍵であることを示しています。

欲望と裏切り: 兄たちは末の息子の成功への嫉妬から裏切りを考えますが、結局それが自分たちの破滅を招きます。欲望が人を誤った方向に導くことを暗示しています。

運命と正義: 最終的に、末の息子は王女との結婚とその国を手に入れ、兄たちは逃げ去ることになります。物語は、不正はいつかは明らかになり、正義が成されるというメッセージを伝えています。

家族の複雑さ: 王子たちの間の競争や父王に対する複雑な感情は、家族関係の難しさを描いています。信頼と裏切りが交錯する中で、それでも家族の愛が最後には勝るという教訓も含まれています。

このように、『命の水』は、読者に重要な人間性の教訓を提供し、道徳的かつ倫理的な価値を考えさせる物語です。

このグリム兄弟の童話「命の水」は、いくつかの重要なテーマを持っています。この物語は、兄弟間の競争、親への忠誠、善行が報われること、そして誠実さと謙虚さの重要性に焦点を当てています。それぞれの要素を以下に分析します。

兄弟間の競争と嫉妬

物語は、3人の兄弟が父親の病気を治すために「命の水」を探す旅に出ることから始まります。兄たちは自己中心的で傲慢であり、自分たちが王国を継ぐ権利を得るために末の弟を欺こうとします。これにより兄たちは困難に陥り、末の弟だけが目的を達成します。この点は、家族内の競争、特に兄弟間の嫉妬と陰謀を描いています。

誠実さと謙虚さ

末の弟は誠実で謙虚です。彼は親切で正直であるため、小人から助けを受け、最終的には成功を収めます。これは、誠実さと謙虚さが報われるという教訓を示しています。また、末の弟の行動は、人々が他者に対してどのように関わるべきかという倫理的規範を伝えています。

親への忠誠

物語では、末の弟が父親を救うことに重点を置いています。彼の行動は家族への忠誠心を示しており、善行が重要であることを教えています。王様が病気を癒されることで、親への忠誠と愛が報いをもたらすことが描かれています。

報酬と罰

物語の結末では、正しい行いをした末の弟は報われ、不正を働いた兄たちは逃げる結果となります。このことから、義務を果たし他者を助けることの重要性と、それに対する報酬が強調されています。逆に、悪い行いをした者には罰が待っていることを示唆しています。

魔法と冒険

「命の水」の物語には魔法や冒険の要素が豊富に含まれています。小人との出会いや魔法の城、試練を乗り越える冒険は、読者を非現実の世界に引き込み、物語に深みと興奮をもたらしています。

このように「命の水」は、道徳的教訓を伝えるだけでなく、エンターテイメントとしても優れた構成を持つ物語です。物語を通して得られる教訓は、現代においてもなお価値のあるものと言えます。


科学的分析のための情報

指標
KHM 97
Aarne-Thompson-Uther インデックスATU Typ 551
翻訳EN, ZH, ES, FR, RU, UA, CZ, PT, DE, VI, TR, IT, PL, NL, RO, EL, HU, DA, FI, SE, BE, BG, ET, SK, SR, NO
文字の数5.067
手紙の数4.594
文章の数162
直接話法の割合27,3%
モチーフ/タグ候補グリム兄弟
除外された指標信頼できる分かち書きがないため、この言語では語・音節ベースの指標を計算しません。
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