Childstories.org
  • 1
  • すべてのグリム童話
  • 2
  • 読書時間でソート
  • 3
  • 音読に最適
ものぐさハインツ
Grimm Märchen

ものぐさハインツ - メルヘン グリム兄弟

子どもたちの読書の時間: 7 分

ハリーは怠け者でした。毎日ヤギを牧草地に連れていく他に何もやることがありませんでしたが、一日の仕事を終わって家に帰ると、呻くように言いました。「まったくきつい仕事だな。こんなふうに毎年毎年、秋遅くまで、野原にヤギを連れていくのは疲れる作業だよ。横になって眠っていられたらなあ、だけどだめだ、ちゃんと目を開けてなくちゃいけない、そうしないとヤギが若木を食べたり、垣根を通りぬけて庭に入ったり、逃げたりしちゃうから。いったいどうやって休んで楽しく暮らせるんだ?」

ハリーは腰をおろし、あれこれ考えをめぐらし、どうしたらこの重荷を肩からはずせるか考えました。しばらく考えてもどれも役にたちそうもありませんでしたが、突然目からうろこが落ちたようになりました。「わかったぞ!こうするんだ。」とハリーは叫びました。「太っちょトリーナと結婚するんだ。あいつもヤギを飼っているから、おれのヤギも一緒に連れ出してくれるさ。そうしたらおれはもう骨折ってやらなくてよくなるぞ。」

そこでハリーは起きあがり、かったるい脚を動かし、通りをすぐ横切り、太っちょトリーナの両親がすんでいるところに行きました。というのははそれだけしか離れていなかったからです。そして、働き者で身持ちのよい娘さんと結婚させてください、とお願いしました。両親は長く考えていませんでした。(類は友を呼ぶということだ)と二人は考え、承知しました。それで太っちょトリーナはハリーのおかみさんになり、ヤギを二頭とも連れ出しました。ハリーは楽しく過ごし、骨休みが必要な仕事はなくなって、自分の怠ける仕事だけが残りました。ハリーはたまにはおかみさんと出かけて、「こうするのはあとでもっと休みを楽しむためなんだ。そうしないと休みをなんとも感じられなくなるからさ。」と言いました。しかし、太っちょトリーナも負けずおとらず怠け者でした。

「ねえ、あんた」とある日トリーナは言いました。「私たち、必要もないのになんで骨折って暮らしてるの?そうして若くていいときが台無しじゃない。あの二頭のヤギをお隣にあげたらよくない?とってもいい気持ちで眠っているのに毎朝メエメエ鳴いてうるさいじゃないの。代わりにミツバチの巣箱をもらいましょう。家のうしろの日当たりのいいところに巣箱をおいたら、もう面倒がないわよ。ミツバチは世話したり、野原に連れて行かなくていいもの。自分で飛んでいって自分で帰る道をみつけるでしょ。それでちっとも面倒をかけないで蜂蜜を集めてくるのよ。」

「物分かりのいいことを言うね。」とハリーは答えました。「早速やろうじゃないか。おまけに蜂蜜はヤギの乳よりうまいし、栄養があるんだ。長持ちもするしな。」隣の人は二頭のヤギのかわりにミツバチの巣箱をひとつ喜んでくれました。ミツバチは疲れを知らず朝から夕方遅くまで巣箱から出たり入ったりして、とてもすばらしい蜂蜜で巣箱をいっぱいにしました。それで秋にハリーはつぼにいっぱい蜂蜜をとることができました。二人は寝室の壁にとりつけられた棚板の上につぼを置きました。盗まれたりネズミが見つけたりするのが心配なので、トリーナは太いはしばみの棒を持ちこみ、無駄に動かないでその棒に手が届き、招かれざる客を追い払えるように、ベッドのそばにおきました。

怠け者のハリーは昼前にベッドから出るのは好きでありませんでした。「早起きするやつは」とハリーは言いました。「身上を食いつぶすっていうよ。」ある朝、明るく日が照っているのにまだ羽根ぶとんに寝そべって、長く眠った後の休みをとっていましたが、おかみさんに「女ってのは甘いものが好きで、お前はいつもこっそり蜂蜜をなめている。お前が食べてしまわないうちに、ひなと一緒のがちようと取り替えた方がいいよ。」と言いました。
「でも」とトリーナは答えました。「がちょうの面倒をみる子どもを生んでからの方がいいわよ。私はがちょうの心配をして意味も無く骨折って暮らすのかい?」

「こどもががちょうの世話をすると思っているのか?この頃では子どもはもう言うことをきかないぞ。自分の好き勝手なことをするんだ。両親より自分が賢いと考えてるからさ。牛を探しに行かされて三羽のつぐみを追いかけていたやつみたいにな。」とハリーは言いました。
「そう!」とトリーナは答えました。「言うことをきかない子ならひどい目にあわすわ。棒をとって数えられないくらい打ちすえてやるの。ほら、あんた」と熱中して叫び、ネズミを追い払っていた棒をつかみました。「ごらん、こうして打ちすえてやるのよ」トリーナは打とうとして腕を伸ばしました。しかし運悪くベッドの上の蜂蜜のつぼに当たってしまいました。つぼは壁にぶつかり下に落ちてばらばらになり、すばらしい蜂蜜は床に流れ出ました。

「がちょうとひながそこにいるわいな」とハリーは言いました。「そんで世話がいらなくなった。だけどつぼがおれの頭に落ちなくてよかったよ。起こったことに文句を言ってもはじまらない。」
そうしてまだかけらの中に蜂蜜がいくぶんか残っているのを見て、手を伸ばし、すっかり陽気に言いました。「残りがまだあるよ、お前、これを食べて、すこし休もう、びっくりしたあとだから。いつもより少し遅く起きたって構わないさ。一日はいつもたっぷり長いからね。」
「そうね」とトリーナは答えました。「いつもちゃんとした時間に一日の終わりになるものね。ね、知ってる?かたつむりがあるとき結婚式によばれて出かけたんだけど、子どもの洗礼式のときに着いたんだって。その家の前で垣根を転げ落ちて、『急ぐとためにならん』と言ったってよ。」

LanguagesLearn languages. Double-tap on a word.Learn languages in context with Childstories.org and Deepl.com.

背景情報

解釈

言語

この物語は、グリム兄弟の「ものぐさハインツ」に基づいています。物語の中心人物であるハリーは、その名の通り怠け者で、自分の負担を軽くするために、働き者の太っちょトリーナと結婚します。しかし、トリーナもまた怠け者であり、最終的には二人とも仕事を減らして楽をする方法を探してしまいます。この物語は、怠惰の落とし穴と、安易な道を選ぶことの愚かさをテーマにしています。

物語の前半では、ハリーはヤギの世話を怠りたい一心でトリーナと結婚します。そして、ヤギを手放してミツバチの巣箱を手に入れることでさらに手間を省こうと考えますが、結果としては大切な蜂蜜を失うことになります。

この寓話は、目先の利益を追求するあまり、結果的に大切なものを失ってしまうことへの警告として読むことができます。また、最後のかたつむりの話は、急いで物事を進めようとすることの無意味さを強調しています。

全体として、怠け者が手間を省くために安直な選択をすることが、必ずしも良い結果をもたらすわけではないというメッセージを伝えています。

この物語「ものぐさハインツ」は、グリム兄弟によるおとぎ話の一つで、怠け者のハリーと彼の妻トリーナの生活を描いています。二人は共に怠け者で、いかにして楽をして暮らせるかを常に考えています。最初はヤギの世話を避けるために結婚し、その後はヤギを蜂蜜に、そして蜂蜜をがちょうに変えようとしますが、常に楽を求める姿勢が災いして計画が失敗に終わります。

物語のテーマとしては、怠けることの危険性や、働き続けることの重要性を風刺的に描いています。ハリーとトリーナは結局、何も得ることなく、状況に満足することを覚えます。この物語は、他力本願や楽を求めることが必ずしも良い結果をもたらすわけではないことを教えています。

物語の最後で、トリーナがつぼを壊して蜂蜜がこぼれてしまうシーンは、彼らの怠けた態度が引き起こす結果として象徴的です。彼らは手に入れた物を簡単に失い、最後には何も残りません。それでもなお、ハリーとトリーナはのんきにその状態を受け入れます。この結末は、怠け者が自己反省せずに楽観的に過ごし続ける様を示しています。

『ものぐさハインツ』は、グリム兄弟の「物語」の1つであり、怠け者の主人公ハリー(またはハインツ)がどのようにして楽をする人生を求めるかをテーマにしています。この物語は、怠けることや楽をしようとする試みが結局何をもたらすのかを教訓としているように思えます。以下、その教訓のいくつかを挙げてみます。

怠惰の代償: ハリーとトリーナは怠けるためにいろいろと策を講じますが、それが思わぬ結果を招くこともあります。怠惰は一見楽な道に見えますが、実際には新たな問題を引き起こすことがあります。

短絡的な考え: ハリーとトリーナの計画はその場しのぎであり、長期的な視点が欠けています。例えば、ヤギを手放して蜂蜜を得ることで楽をしようとしますが、結局この考えも失敗に終わります。

コミカルな結末: 物語の最後はハリーとトリーナの失態によるもので、コメディ的な要素が強調されています。このように、ほのぼのとしたユーモアを通して、読者に物事を深刻に捉えすぎず、人生の失敗を楽しむ視点を提示しています。

貪欲と満足: 物語はまた、十分であることを知ることの大切さについても触れていると考えられます。過度に欲を出すと、持っているものを失う危険があります。

この物語は、人生における努力の重要性や物事に対する適切な視点を持つことの大切さを教えてくれます。読者にとっては、ハリーとトリーナの物語を通じて自己や生活を見つめ直すきっかけになるかもしれません。

ご質問、ご意見、体験レポートをお聞かせください

最高のおとぎ話

著作権 © 2025 -   私たちについて | データ保護 |全著作権所有 搭載 childstories.org

Keine Internetverbindung


Sie sind nicht mit dem Internet verbunden. Bitte überprüfen Sie Ihre Netzwerkverbindung.


Versuchen Sie Folgendes:


  • 1. Prüfen Sie Ihr Netzwerkkabel, ihren Router oder Ihr Smartphone

  • 2. Aktivieren Sie ihre Mobile Daten -oder WLAN-Verbindung erneut

  • 3. Prüfen Sie das Signal an Ihrem Standort

  • 4. Führen Sie eine Netzwerkdiagnose durch