子どもたちの読書の時間: 6 分
昔、娘が一人いる王様がいました。王様はガラスの山を作らせ、転ばないで山の向こう側に渡ることができた者に娘を妻に与える、と言いました。すると、王様の娘を愛している男がいて、王様に、王女様をいただけますか、と尋ねました。「いいとも」と王様は言いました。「転ばずにあの山を越えることができたら、娘をやるぞ。」王女は男と一緒に行き、男が転びそうになったら支えてあげると言いました。それで二人は山を越えるために一緒にでかけましたが、半分登ったところで王女が滑って転び、ガラスの山が開いて中に王女を閉じ込めてしまいました。いいなずけの男は、山があっという間に閉じてしまったので、娘がどこへ行ったのか見えませんでした。それから男は大いに泣き、嘆き悲しみました。王様も惨めで、娘が行方不明になったところの山を壊し開いてみるように命令し、娘を外にだせるだろうと考えましたが、落ちた場所を見つけられませんでした。
その間に、王様の娘は、地中にとても深く落ちて大きなほら穴に入りました。とても長い灰色のひげを生やしたじいさんが、王女を出迎えて、召使になって命じる何でもやるなら生かしておくが、そうでなければ殺す、と言いました。それで王女はじいさんの命じることを何でもやりました。朝にじいさんはポケットからはしごを出し、山にたてかけ、はしごで上まで登り、そのあとはしごをしまいました。王女はじいさんの食事を作り、ベッドをととのえ、じいさんのしごとをすべてやらされました。何年も一緒に暮らして、王女はすっかり年をとり、じいさんは王女をマンスロットおばさんと呼び、自分をリンクランクじいさんと呼ばせました。するとあるとき、じいさんがでかけていたとき、王女はベッドをととのえおわり皿を洗ってしまうと、戸と窓を全部しっかり閉め、光が差し込む小さな窓一つだけ開けておきました。
リンクランクじいさんはかえってきて、戸をたたき、「マンスロットおばさん、戸を開けておくれ」と叫びました。「いやよ、リンクランクじいさん。戸を開けてやらないわ。」と王女は言いました。するとじいさんは言いました、「ここに立っているおれ、かわいそうなリンクランク、17フィートの長いすねに、疲れ果てた足で、マンスロットおばさん、皿を洗っとくれ」「もう皿は洗いました」と王女は答えました。するとじいさんはまた言いました、「ここに立っているおれ、かわいそうなリンクランク、17フィートの長いすねに、疲れ果てた足で、ベッドをととのえておくれ、マンスロットおばさん」「もうベッドはととのえました」と王女は答えました。するとじいさんはまた言いました、「ここに立っているおれ、かわいそうなリンクランク、17フィートの長いすねに、疲れ果てた足で、戸を開けておくれ、マンスロットおばさん」それからじいさんは走って家をまわり、小さな窓が開いているのを見て、(中を覗き込んで、あいつがいったい何をしているのか、どうして戸を開けないのか見てみよう)と思いました。
じいさんは中を覗こうとしましたが長いひげが邪魔をして頭を入れられませんでした。それでまず開いた窓からひげを中に入れました。しかし、ひげを入れ終わったちょうどそのとき、マンスロットおばさんがやってきて、窓に縛っておいた紐を引っ張って窓を下ろしてしまい、ひげがしっかり挟まれてしまいました。それでひどく痛がって、じいさんはとてもあわれっぽく泣きだし、放してくれと頼みました。しかし王女は「山に登るはしごをくれるまではだめ。」と言いました。それで、いやおうなく、じいさんははしごのありかを言わなくてはなりませんでした。王女は窓にとても長いリボンをつないでいたので、はしごを立てかけ山に登っててっぺんに着いた時、窓を開けました。
王女は父親のところに行き、今まであったことを話しました。王様はとても喜んで、いいなずけはまだそこにいました。みんなは山に行って掘り起こし、中にリンクランクじいさんと金銀を見つけ、王様はリンクランクじいさんを殺させ、金銀の宝をもって帰りました。王女はいいなずけと結婚し、華やかで幸せに暮らしました。

背景情報
解釈
言語
この物語は、グリム兄弟によって語られた「リンクランクじいさん」というメルヘンです。この物語は伝統的な童話の要素を多く含んでおり、特に困難な試練や危機を乗り越えて幸福をつかむというテーマが描かれています。
物語の中心には、王女を救うために試練を受け入れる王女のいいなずけの男と、その試練の過程で重要な役割を果たすリンクランクじいさんがいます。物語は、人間の勇気や知恵を試し、最後には正義が勝つという教訓が込められています。
ストーリーの最も重要な要素は、ガラスの山での試練と、王女が囚われの身となる地中での生活です。リンクランクじいさんというキャラクターは、善悪の境界を曖昧にし、物語に緊張感と不確実性を加えています。このような伝統的な童話のパターンにより、読者は最後の勝利と幸福に向かうプロセスに引き込まれます。物語の結末では、正義が勝ち、悪者が倒され、登場人物たちが幸せを取り戻すという、古典的なハッピーエンドが用意されています。
この物語は、グリム兄弟の他の童話と同様に、子供たちに対する道徳的な教訓を含みつつ、豊かな空想の世界を提供しています。
この物語は、グリム兄弟によるメルヘン「リンクランクじいさん」のあらすじです。この話は、王女と彼女を愛する男の試練と冒険を中心に展開されます。王様はガラスの山を作り、それを転ばずに越えた者に娘を与えると言います。しかし、挑戦中に王女がガラスの山に閉じ込められてしまいます。物語は、王女が地下のほら穴でリンクランクじいさんに囚われ、仕えさせられるプロセスを描きます。最終的に王女は知恵を絞り、リンクランクじいさんを陥れて自由を得ます。地上に戻った王女は、意中の男性と結婚し、幸せに暮らします。この物語は勇気や知恵、そして試練を経た後の幸福な結末を描いており、古典的なメルヘンのテーマが盛り込まれています。
このグリム兄弟による「リンクランクじいさん」という物語は、典型的なメルヘンの要素を多く含んでいます。その中の言語学的分析として、いくつかのポイントを挙げてみましょう。
典型的なメルヘンの構造: この物語は、伝統的なメルヘンの構造を持っています。まず、課題(ガラスの山を越えること)があります。また、その挑戦に失敗することで新たな試練(王女が閉じ込められる)が生じます。そして最終的に問題が解決され、幸せな結末を迎えるという流れです。
繰り返しの表現: メルヘンには一部のフレーズや行動が繰り返されることが多く、物語のリズムを生み出します。この物語では、リンクランクじいさんと王女のやりとり(「ここに立っているおれ、かわいそうなリンクランク…」)が繰り返され、物語の緊張感を高めています。
象徴的なモチーフ: ガラスの山や長いひげといった要素は象徴的なモチーフとして使用されています。ガラスの山は試練や困難を象徴し、長いひげはじいさんの異形性や力の象徴です。
名前の持つ意味: 名前にはしばしばそのキャラクターの性質や役割が反映されます。「リンクランクじいさん」という名前には、音の響きから彼の個性や物語のコミカルな側面が表現されています。また、王女に与えられた「マンスロットおばさん」という名前は、彼女がじいさんの召使いとしてどんな役割を果たしているのかを示唆しているかもしれません。
教訓的要素: 多くのメルヘンと同様に、この物語にも倫理的教訓が含まれています。困難に立ち向かう勇気、機転を利かせる知恵が報われること、そして悪事には必ず報いがあるという教訓を含んでいます。
このように、「リンクランクじいさん」は、グリム兄弟の物語の典型的な特徴を多く持っており、言語学的にも興味深い分析対象となります。