子どもたちの読書の時間: 3 分
神様は全ての動物を創り、狼を自分の犬に選びましたが、山羊を忘れてしまいました。それで悪魔も準備し創り始め、立派な長い尻尾のある山羊を創りました。さて、山羊が草を食べに行くと、たいてい尻尾が生け垣にひっかかったままになるので、悪魔はでかけていって、とても骨をおって、尻尾をほどかなければなりませんでした。とうとう悪魔は怒って、行ってどの山羊の尻尾も噛み切ってしまいました。それが今日までぶつっとした切り株になってみられるものです。
それから悪魔は山羊だけで草を食べに行かせました。しかし、山羊があるときは実のなる木を噛み、またあるときは立派なブドウを駄目にしたり、他の弱い植物を枯れさせたりしたのを神様が気づくことになりました。神様は、これに心を痛めて、やさしさと情けから狼たちを呼びました。それで狼はすぐにそこに行った山羊をバラバラに引き裂きました。
悪魔はこれを見たとき、神様の前に行き、「あなたの生き物が私の生き物を殺しました。」と言いました。神様は「どうしてお前は害をなすものを創ったのですか。」と答えました。悪魔は「私の考えが悪い方に走るんですから、そうするよりしかたがなかったんです。私が創るものは他の性質を持ちません。あなたは酷い損害を私に支払わなくてはいけません。」と言いました。「カシの葉が落ちたらすぐ支払うよ。そのとき来なさい。お前の金はそのとききっちり用意しておくよ。」
カシの葉が落ちてしまったので、悪魔はやって来て、自分に当然支払うべきものを要求しました。しかし、神様は「コンスタンチノープルの教会にはまだ葉が全部ついている高いカシの木が立っている。」と言いました。怒って悪態をつきながら、悪魔は別れていき、カシの木を探しにでかけました。荒れ野を6ヶ月さまよい、その木を見つけました。そして、戻ったとき、その間にカシの木は全部緑の葉っぱで再びおおわれていました。それで、悪魔は損害賠償を失くしてしまいました。それで、怒り狂って、残っている山羊全部の目をとりだして代わりに自分の目を入れました。こういうわけで、全部の山羊は悪魔の目をしていて、尻尾は噛み切られているし、悪魔は山羊の格好を装うのが好きなのです。

背景情報
解釈
言語
この物語は、グリム兄弟によるメルヘン(童話)における神様と悪魔の動物に関するストーリーの一つです。主に山羊と狼に焦点を当てた話であり、神様と悪魔の動物に対する意図や考え方の対比が描かれています。
物語の冒頭では、神様がすべての動物を創り、狼を自分の犬として選びます。しかし、山羊を創ることを忘れてしまいます。そこで悪魔が山羊を創りますが、その山羊は問題を引き起こします。山羊の長い尻尾が生け垣に引っかかり、悪魔がそれをほどく苦労を繰り返し、最終的に尻尾を噛み切ってしまいます。
また、山羊が植物を荒らすため、神様は狼に命じて山羊を処分します。悪魔はこれに対して神様に抗議しますが、神様は悪魔の創ったものが悪であったことを指摘し、対価を払う約束を果たさないことで悪魔をさらに怒らせます。悪魔は最終的に山羊の目を取り、自分の目を与えます。
この物語は、動物の特徴を通じて善と悪の本質や、それに対する神様と悪魔のアプローチを象徴的に表現しています。山羊の尻尾や目の描写は、キャラクターのシンボルとして機能し、物語に深みを加えています。
この文章はグリム兄弟によるメルヘンの一節で、「神様の動物と悪魔の動物」という物語です。この物語では、神様と悪魔がそれぞれ動物を創造するという設定があります。神様は狼を自分の犬として選びますが、山羊を創ることを忘れてしまい、その隙を突いて悪魔が山羊を創ります。
しかし、悪魔が創った山羊は問題を引き起こし、植物を荒らしたりします。これにより神様は狼に山羊を襲わせて問題を解決しますが、悪魔はこのことで神様に抗議します。この対立の末に、神様は賠償を約束しますが、カシの葉がすべて落ちることを条件とし、悪魔をうまく欺きます。
最終的に、悪魔は自分の負けを認識し、怒りから山羊の目を自分の目に変えてしまいます。この物語は、善と悪、創造と破壊というテーマが組み込まれており、ファンタジーと寓話の要素が強い作品です。神様と悪魔の対比を通じて、自然や創造物に対する責任についても考えさせられる内容になっています。
このメルヘンは、グリム兄弟の物語の一つであり、神様と悪魔の対立、動物の創造、そして道徳的な教訓をテーマにしています。以下は、物語の言語学的および内容的な分析です。
文体と表現: メルヘン特有の神話的で象徴的な表現が見られます。神様と悪魔という対照的なキャラクターが出てきて、それぞれの属性や行動がシンプルながらも象徴的に描写されています。
– 繰り返し表現や比喩が使用されており、特に「悪魔の目」「噛み切られた尻尾」などが物語の結論として強調されています。
文法と構造: シンプルな文構造が使われており、物語のストーリー展開が明快に理解できるようになっています。
– 直接話法が使用されており、神様と悪魔の対話によって物語が進行します。これにより、キャラクターの性格や感情が直接的に伝わります。
内容的分析
テーマ
善と悪の対立: 神様と悪魔はそれぞれ善と悪の象徴であり、この対立が物語の中心にあります。狼が神様の犬に選ばれ、山羊が悪魔の動物となることで、それぞれの属性が強調されています。
– 創造と破壊: 動物の創造という行為を通じて、神様の計画と悪魔の不安定さが対比されています。特に、山羊の尻尾が引っかかる問題や、悪魔が山羊の目を奪うというエピソードで、破壊的な側面が描かれます。
道徳的教訓: 神様の視点からすれば、悪魔の創造物が害をなすために取り除かれるという物語展開により、悪は最終的に敗北するという教訓が示されています。
– 悪魔の視点では、常に何らかの欠陥や報復が伴うことを示し、人間の創造や行動には注意が必要であるという警鐘を鳴らしています。
この物語は、神様と悪魔の二元論的テーマを通じて人間に考える機会を与え、多くのメルヘンが持つ道徳的教訓を伝える役割を果たしています。