子どもたちの読書の時間: 4 分
昔、兄と妹がいて、心からお互いを愛していました。しかしながら、二人の生みの母親は死んでしまい、継母がいましたが、やさしくなく、二人をいじめるため密かに何でもしました。あるとき、二人は家の前の草地で他の子供たちと遊んでいました。また草地の中に家の片側に近いところまできている池がありました。子供たちはそのあたりを走り、お互いをつかまえ、数え遊びをしていました。「エネケ、ベネケ、私を生かして、私はあなたに小鳥をあげる、小鳥にわらを探させる、食べるわらを牛にあげる、かわいい牛はミルクをくれる、ミルクを私はパン屋にもっていく、パン屋はケーキを焼く、ケーキを私は猫にあげる、それで猫はネズミをとる、ネズミを私は煙の中につるす、それであなたは雪を見る」子供たちはこの遊びをするとき輪になって立ち、雪の言葉がくる子は逃げなくてはならなくて、他の子供たちがその子を追いかけつかまえました。子供たちが楽しそうに走り回っていると、継母は窓から見て,怒りました。それで、継母は魔法の術をわかっていたので、二人とも魔法にかけ、兄を魚に、妹を子羊に変えました。それで、魚は池をあちこち泳ぎ、子羊は草地をあちこち歩き回りましたが、みじめで草1本も食べたり触ったりできませんでした。
こんなふうにしばらく過ぎました。それから何人かよその人がこの城へのお客としてやってきました。不実な継母は、これはいい機会だ、と考え、料理人を呼んで、「草地に行って子羊をとってきて、殺しなさい。他にお客さんたちのごちそうは何もないんだからね。」と言いました。それで料理人は行って子羊をつかまえ、台所へ連れてきて、足を縛りました。子羊はこういうことを全部我慢して耐えていました。料理人は包丁をとりだして、子羊を殺すために戸口で研いでいたとき、小さな魚が溝石の前で水の中を行ったり来たりして自分を見上げているのに気付きました。でも、これは兄でした、というのは魚は料理人が子羊を連れ去るのを見たとき、あとをつけ、家まで池を泳いできたからです。すると、子羊は下のその魚に叫びました、「ああ、とても深い池にいる兄さん、私の心はどんなに悲しいか、料理人が私を殺すため包丁を研いでるの。」すると小さな魚は「高いところの妹よ、この池にいて私の心はどんなにかなしいことだろう。」と答えました。料理人は子羊が話せて、しかも下の魚にそんな悲しいことを言うのを聞いたとき、びっくりして、これは普通の羊のはずがない、家の悪い女に魔法にかけられたにちがいない、と思いました。それで「安心しな、お前を殺さないよ」と言って、別の羊を連れてきてお客をもてなす支度をしました。そして 子羊を良い農夫の女に渡し、自分が見て聞いたことを全部説明してきかせました。ところで、その農夫はとても良い人で、妹の養い親になり、すぐにその子羊が誰か勘付いて、賢い女に連れていきました。それで、賢い女は子羊と小魚に祝福のまじないをとなえると、その力で二人はもとの人間の形に戻りました。このあと、賢い女は二人を大きな森の中の小屋に連れて行き、二人だけでそこに住みましたが、満足して幸せに暮らしました。

背景情報
解釈
言語
この物語は、兄と妹の絆と、彼らを陥れようとする継母の悪意に対抗する物語です。日本語で「小羊と小魚」と呼ばれるこのお話は、グリム兄弟の伝承に似た要素を持っています。
基本のプロットは、邪悪な継母が兄妹を不幸にしようとして、魔法で兄を魚に、妹を子羊に変えるところから始まります。継母の計画は、最終的には料理人の良心によって阻止されます。料理人は、子羊(妹)が悲痛な声で魚(兄)に話しかけるのを聞いて心を動かされます。この出来事が、兄妹を救い出すきっかけとなり、無事に元の姿に戻ります。
物語の中では、善良な農夫や賢い女といった助ける人物が現れ、兄妹の苦難を救います。彼らは、継母の悪意から逃れ、森の中で幸せに暮らす結末を迎えます。この物語は、悪に対抗する勇気、兄妹愛、そして思いやりの重要性をテーマにしており、グリム兄弟の数多くの物語と同様に、善が悪に勝つという教訓を持っています。
このグリム兄弟の童話『小羊と小魚』は、いくつかのテーマや解釈が考えられます。
兄弟愛と家族愛: 物語は兄と妹の強い絆から始まります。ストーリー全体を通して、彼らはたとえ離れ離れにされ、異なる姿に変えられたとしても、お互いを思い合い支え合っています。この無条件の家族愛とサポートは、読む人に深い印象を与える要素です。
逆境に立ち向かう勇気: 継母による悪意や魔法といった逆境に対して、兄妹は決して諦めません。特に子羊になっても助けを求め続ける妹の姿は、困難な状況でも希望を持ち続けることの重要性を示しています。
善と悪の対立: 継母の魔法や意地悪な行動は悪の象徴であり、それに対抗する形で登場する料理人や賢い女といったキャラクターは善を象徴しています。このように、物語は善が悪に打ち勝つという伝統的な結末を描いています。
変身と魔法の力: 物語の中心には変身のテーマがあり、これはグリム童話に多く見られる要素です。人間が動物に変えられるという魔法的要素は、物語にファンタジー的な魅力を付加しています。また、変身からの解放は、外部からの助けや自らの努力によって成し遂げられるというメッセージも含まれているかもしれません。
幸せの再発見: 最終的に兄妹は再び人間の姿に戻り、新しい場所で幸せに暮らすことができました。これは、試練を越えて新たな始まりを迎えるという希望のメッセージと言えるでしょう。
この物語は、様々な文化や時代を超えて愛され続ける普遍的なテーマを含んでおり、それが今日でも多くの人々に読まれる理由の一つとなっています。
このグリム兄弟のメルヘンに登場する「小羊と小魚」は、典型的な童話の要素を持ちながら、ユニークなストーリー展開を見せています。この物語の言語学的分析を通じて、いくつかの興味深い点を考察できます。
象徴と変身: 物語では、主人公兄妹がそれぞれ魚と羊に変えられます。動物への変身は、しばしば無実や無力感、疎外感の象徴として使われます。魚と羊はどちらも人間に馴染みのある動物であり、無害で無防備なイメージが強調されていると解釈できます。
数え遊びと呪文: 物語の序盤で紹介される数え遊び「エネケ、ベネケ」は、無邪気な子供たちの遊びとして機能しながら、ある種の呪文としての響きを持っています。このような韻を踏んだ言葉は、記憶に残りやすく、物語全体にリズムを与える効果があります。
継母の存在: グリム兄弟の多くのメルヘン同様、この物語にも継母という悪役が登場します。継母は伝統的に不正や危険の象徴として描かれ、物語における試練の源泉となります。
善良な第三者の役割: 料理人や賢い女など、主人公を助けるキャラクターは、物語の展開において重要な役割を果たします。彼らは倫理的な視点から行動し、正義が勝つというメルヘンの典型的なテーマを支持します。
幸福な結末: 最後に、兄妹は元の姿に戻り、幸せに暮らします。この結末は、困難や試練を乗り越えた先にある報酬を示しており、読者に安心感と納得感を与えます。
このように、「小羊と小魚」は、伝統的なメルヘンの要素を取り入れながらも、独自のストーリー展開とキャラクター描写を通じて、読者に深い印象を与える作品だと言えるでしょう。