子どもたちの読書の時間: 6 分
1
昔、九本の尻尾がある古狐がいました。古狐は妻が自分に忠実でないと思い、妻を試してみようと思いました。長椅子の下に長々とねて、手足を動かさず、まるで死んだようにしていました。狐奥様は自分の部屋に上がって行き、ひきこもり、お手伝いさんの猫嬢がかまどのそばに座り、料理をしていました。古狐が死んだと知れると、大勢の求婚者たちが現れました。
お手伝いさんは誰かが玄関の戸をたたいているのを聞いて、でかけて戸を開けました。それは若い狐で、「何をしているんだい?猫さん。眠っているかい?起きているかい?」と言いました。「眠っていないわ。起きてるわよ。何を作っているか知りたい?バターでビールを煮ているの。夕食のお客さんになりません?」「いや、結構です、猫さん。狐奥様は何してますか?」と狐は言いました。
お手伝いさんは、「奥様は部屋にいて、ふさぎこんで嘆いています。だんなさまが亡くなったので泣いて目が真っ赤です。」と答えました。「では、是非伝えてください。お嬢さん。若い狐がここにいて、奥様に妻になって欲しがってると。」「わかりました。若いお方。」猫は階段を昇ります。タン、トン。猫は戸を叩きます。トン、トン、トン。「狐奥様、おいでですか?」「ああ、いますよ。猫さん。」と狐奥様は叫びました。「玄関の外に妻になってほしいという方がいます。」「どんな方?その方、亡くなっただんなさまと同じ9本の美しい尻尾があって?」「とんでもない、尻尾は一本だけです。」と猫は答えました。「それじゃ結婚しないわ。」猫嬢は下におりていき、求婚者を追い返しました。
そのあとまもなく、また戸をたたく音がして、別の狐が玄関にいて狐奥様を妻にしたいと言いました。この狐には尻尾が2本ありましたが、最初の狐と同じ結果になりました。このあと、さらにもっと来て、前の狐より尻尾が一本ずつ多かったのですが、みんな追い返されました。そしてとうとう、古狐のだんな様のように九本の尻尾がある狐がきました。狐奥様はそれを聞くと、嬉しそうに猫に言いました。「門と戸を全部開けて、古狐のだんなを外に運び出しておくれ。」
しかし、結婚式が行われようというちょうどその時、古狐のだんなは長椅子の下で動き出し、式に来たお客をみんなこん棒でたたき、みんなと狐奥様を家から追い出してしまいました。
2
古狐のだんなが死んだとき、狼が結婚を申し込みに来て、戸をたたき、奥様狐のお手伝いさんをしている猫が戸を開けました。狼は猫に挨拶して、「こんにちは、ケーレビットの猫さん、どうして一人でいるのですか?どんなご馳走を作っているのですか?」と言いました。猫は、「とても甘いパンをくだいてミルクに入れています。お客さんになって食べませんか?」「いいえ、結構です、猫さん。」と狼は答えました。「狐奥様はお留守ですか?」「奥様は悲しい運命を嘆きながら、とても困って嘆きながら、二階の部屋にいらっしゃいます。だんな様の古狐がもうこの世にいないので。」と猫は言いました。狼は「もし奥様が今夫が欲しいなら、下に降りてくるように」と答えました。
猫は素早く階段を駆け上がり、尻尾をあちこちに揺らして、居間の入口にやってきます。五本の金の指輪で、戸をたたきます。「おいでですか?奥様、もし夫が欲しいなら、下まで降りてきてください。」狐奥様は「その方は赤い靴下をはいてるの?とがった口をしているの?」と尋ねました。「いいえ」と猫は答えました。「それじゃあ、私の役にたたないわ。」
狼が行ってしまうと、犬、鹿、うさぎ、熊、ライオン、など森のけものが次々とみんな来ました。しかし、古狐のだんなが持っていた良い性質のうち一つがどの相手にもいつも欠けていて、猫は求婚者たちを追い返し続けました。とうとう若い狐がやってきました。すると、狐奥様は、「その方は赤い靴下をはいているの?小さなとがった口をしているの?」と言い、猫は「はい、そうですよ。」と言いました。「それじゃ、二階へお連れしておくれ。」と狐奥様は言い、お手伝いさんに結婚式の準備をするよう命じました。「できるだけきれいに部屋を掃いて、窓を開けて、夫のじいさんを投げだしておくれ。じいさん、すてきな太ったねずみをもってきて、妻のことは考えちゃいなかったわ、つかまえたのはみんなたべちゃったもの。」それから若い狐と結婚式をあげて、たくさん喜びと踊りがありました。もし止めていなければ、ふたりはまだ踊っています。